音楽の聴き始める時
音楽が好きです。突然だが、これは偽りのない気持ちである。小学校のときに似合わないのにピアノを習っていた。多分それとは無関係に、まずチェッカーズにはまった。次にはまった歌は百人一首である。確か小学校高学年からはまり、高校になる頃には、うち10個ほど短歌を暗記できていたと思う。さらに、百人一首とも無関係に中学三年にチャゲ&アスカとサザンオールスターズにはまり、高校一年のときにブルーハーツにはまった(程なくしてブルーハーツは解散した)。この頃はまだよかった。これらのアーティストの曲を聴き漁る背景で、いわゆるヒットチャートを追いかけていたに近い姿で当時の歌を聞いていた。
ところが大学に行って一人暮しをし、バンドを始めてから音楽の聴き始めが変わった。聴き始めが変わったとは、要するに聴くきっかけが変わったということである。もともとあまりテレビを見なかった俺が、一人暮しをして一週間ほどでテレビが置物化されていた。テレビが情報を伝えるメディアとして役に立っていないのである。そうなると、ドラマで使われたから知っている曲もない。ちなみに高校まではドラマは再放送で見る主義だった。CMで使われようが音楽番組で使われようが、嘉門達夫が替え歌メドレーで歌おうが関係なかった。では、どうやって新しい歌を聴いたのか(ここで言う新しい歌は、俺がそれまで知らなかった歌である)?CD屋さんでジャケ買いをするか、バンドサークルの人の影響を受けるか、桑田佳祐のキャノンFMワンダーランド・やさしい夜遊びを聞くかの、いずれかの方法で音楽を開拓したのだ。結果として、それまでほとんど聞いていなかった洋楽を聴き始めたのが大きな違いである。
ストレイキャッツにはまったのが、俺の音楽性を大きく変えた。ストレイキャッツを聴き始めた影響で、彼らがカバーするオールディーズを聞き漁り始めたのである。大体オールディーズはどの曲もシンプルで聴きやすい。特にオールディーズでもロックに属するものはどれも気に入った。スリーコード進行が多いのでギターでも弾きやすく(未だまともに一曲弾けるのは皆無に近いが)、ノリやすい。特に料理やアイロンがけのときに聴くと、踊ってしまって危ない。しかし変わりに料理やアイロンをやってくれる美人な恋人も可愛いワイフも怪しい団地妻(不倫編)もいないので危なくてもやらなければならない。
オールディーズを聞くと、1978年生まれのクセに1950年代に舞い戻った気分になる。アメリカの広大な大地を貫くどこまでも続く道路を、オープンのキャディラックで突っ走るような、偏ったイメージが広がる。十二単を着た見返り美人もチョンマゲをした内閣総理も、東京タワー下の牛車も出てこない。牛車は他でも出てこない。フジヤマ・ママを聴いてもキャディラックと地平線が登場してしまう始末だ。
今は、オールディーズはあらかた堪能したのか、60年代を経て70年代頃のロックを聞く傾向が出てきた。音楽に対する時間軸がずれたようだ。相変わらずヒットチャートはサザン以外興味はない。このままいけば、新御三家を聴き始めるのもそう遠くないだろう。
ほざくぜ戯言!のトップに戻る トップに戻る